「部下に主体的・自発的に動いてほしい」という上司からの意見をよく聞きます。
ここで知っていただきたいのがアドラー心理学の「勇気づけ」です。
勇気づけを定義づけすると「困難を克服する活力を与えること」と言うことができます。
より詳しく言えば、これは他者が困難に直面した時、本人が自分の力でその困難を乗り越えられるようサポートすることになります。
では、どうすれば「勇気づけ」ができるのでしょうか。
どうすれば、部下が自らの力で困難を克服できるような活力を与えられるのでしょうか。
アドラーの理論に「人は貢献を感じると幸せを感じる」というものがあります。
皆さんも仕事をしていて「やりがい」を感じる瞬間に、顧客から「ありがとう」の言葉をもらった時、というのがあるのではないでしょうか。
この「他者の役に立てた。貢献した。」という感覚が、次の活動へのエネルギーとなっていきます。
部下にこの貢献感を持たせる簡単な方法は、「ありがとう」という言葉です。
上司のあなたは普段、部下にどれだけ感謝の言葉を投げかけているでしょうか。
ひょっとして、部下の行動の多くを「あたりまえ」の行動として認識していないでしょうか。
部下の存在があってはじめて上司であるあなたの存在が成立します。
ぜひ普段から部下に対して「おかげさまで」の精神で接してほしいと思います。
部下に貢献感を持たせる方法としてもうひとつ。
ぜひ自分の「ポジティブな感情」を部下に投げかけてほしいと思います。
「君の頑張りが(私は)嬉しかったよ。」
「チャレンジしている姿を見て(私は)感動したよ。」
これらの言葉で、部下には「上司の役に立てた」という貢献感が生まれます。
ぜひ主語を「私」にして、自分のポジティブな感情を伝えてほしいと思います。
最後にアドラーの言葉を紹介します。
「よくやったね」と褒めるのではない。
「ありがとう。おかげで助かったよ。」と感謝を伝えるのだ。
一度感謝される喜びを知った者は、進んで貢献活動を繰り返すだろう。