アドラー心理学とコーチング&ファシリテーション

【ブログ】アドラー心理学:闇営業問題における「保身のための嘘」

【ブログ】アドラー心理学:闇営業問題における「保身のための嘘」

先般、吉本興業の芸人達を中心とした闇営業問題が世間を賑わせました。
この問題について、アドラー心理学の観点からマネジメントに生かせる部分にフォーカスしたいと思います。
 
まずこの問題の論点のひとつに、反社会的勢力からお金を受け取ったか否かについて「金銭は受け取っていない」と嘘をついていた点があります。
これについて、当事者である田村亮さんは嘘をついた理由として「保身のため」と言及しました。
 
「嘘」を正当化するつもりは決してありませんが、この「保身のため嘘をつく」ということ、これは人間であれば誰にでも起こり得るのではないでしょうか。
その人にとって失うものが大きければ大きいほど、人は保身に走ってしまうものだと思います。
 
職場で上司であるあなたは、部下に対してぜひこの人間の習性・特性を十分に把握していただきたいと思います。
例えば、仕事上で何か問題が起きた時、部下にその原因を追究したとしても「真実」が語られるとは限りません。
「保身のために嘘をつく」「保身のために話を大げさにする」など十分に起こり得ることであると事前に想定してほしいのです。
 
言い方を変えれば、部下の「保身のための嘘」を引き出しているのは、実は上司であると見ることもできます。
 
「なんで、そうなったんだ?」
「それは本当なのか?どうなんだ?」
と、問い詰めても部下は葛藤の中でもがき苦しむだけでしょう。
 
「そんなことを言っても、本質的には嘘をつく本人が一番悪い!」
という意見もあるかと思いますし、実際には私もそう思います。
しかし、もしそれで嘘が見抜けなければ目の前の問題は解決できないどころか、更に悪い方向へと発展していくのではないでしょうか(吉本興業がそうであったように)。
その場合、問題の結果責任を負うのは上司であるあなた、ということもあり得るのです。
 
では、どうすればよいのでしょうか。
アドラー派のコーチングやカウンセリングに「起こりうる未来を予想させる」というものがあります。
 
問題を起こした当人はパニックに陥っていて、「その場をどうしのぐか」という点しか見えていないことがほとんどです。
そんな時、上司のあなたは冷静に、これからの本人の対応がどんな結末になり得るのか、また会社としてどんなサポートができるのかを示しながら話し合ってほしいと思います。
 
本人も今後起こり得る未来を想定できれば、意思決定もしやすくなるはずです。
「嘘をつけば、後に取り返しのつかない事態になるかもしれない」という判断になるかもしれません。
 
真相追求も人対人での取り組みです。
だからこそ、相手の感情をおもんばかる対応を心掛けてほしいと思います。