アドラー心理学によるファシリテーション

マニュアルは通用しない

マニュアルは通用しない

アドラー心理学における私の師である岩井俊憲先生より、新著「男と女のアドラー心理学」(青春出版社)を恵贈賜りました。

アドラー心理学が提唱する「人生で取り組むべき課題(=ライフタスク)」のうち、「愛のタスク」に着目して書かれた本ですが、この分野に関するアドラー関連の書籍は今まで無かったため、待望の発刊となりました。岩井先生が実際に携われたカップル・カウンセリングの体験を踏まえて書かれているため、大変読み応えのある内容となっています。

「みんなに好かれた人は、歴史上存在しない。みんなに嫌われた人も同様である。」
と、岩井先生が掲げる人間関係の大法則に基づき、夫婦間や恋人間で良好なパートナーシップを築くためのポイントがアドラー心理学の観点から述べられています。

私が個人的に刺さった部分は102頁の「相手の話をしっかり聴くというのは、試験問題の解答と違って、言葉だけに反応することではなく、ある状況で相手の意図、感情、情報など、言葉の裏側にある要素を推測して、対応しなければならないのです。」という部分です。

私自身、アドラー心理学のセッションをやっている時、効果的なコミュニケーションの取り方について、受講者から正に試験問題の解答のごとく「正解」を求められる場面に度々遭遇します。つまり、「こう対応すれば、相手はこうなる」といったスキル・マニュアルを求められることが多いのです。

しかし、この本に書いてある通り、その状況下での相手の意図や感情、ニュアンスによってそれぞれ対応は異なります。ある場面では効果的だった対応も、違う局面では全く効果的なかったということも十分起こり得るのです。ですから、想定問答集のような形でうわべだけのスキルを磨いても、現実社会では十分に適応できません。

もちろん「相槌の仕方」や「相手への配慮を示す伝え方」など、基本的なスキルはあります。ただ、それ以上に、まず相手をいかに理解するか、そのためにあなたはどういった態度で相手と接するのか、その前提があってはじめて、各場面でどのスキルが効果的なのかが明確になっていきます。

本書のテーマは「男と女」ですが、「人間関係」全般に応用できる内容であると強く感じた次第です。