アドラー心理学とコーチング&ファシリテーション

豊田真由子議員の会見に見る「怒り」の感情

豊田真由子議員の会見に見る「怒り」の感情

先日、豊田真由子議員の元秘書への暴言報道に対する謝罪(釈明?)会見がありました。
この会見での発言から、「怒りの感情」についてアドラー心理学の観点から考察したいと思います。

会見で豊田議員は元秘書に暴言は吐いた状況を以下のように述べています。

(会見全文記事1~5http://logmi.jp/236173より抜粋)

「そこは私も音声を聞くたびに本当に呆然としてしまいますし、『どうしてこんなこと言っちゃったんだろう』って、本当にどうかしてたなというふうに、『どうしちゃってたんだろう』というふうに思います。」

 

「病気のせいにしてるとかそういうことではないですけれども、本当にあの当時は、あんまり細かいことは医療上の話なのであれですけれども、婦人科系の疾患と内科系の疾患とかいろいろちょっと重ねていて。」

 

「もう本当にものすごい体調が悪くて、薬もちょっとガブガブ飲んでいたりして。激務と睡眠不足で、パニックでわー(となっていた状態)なので、決して正常だったかと問われれば、まったく正常……メンタルヘルスという意味ではないですけれども、正常ではなかった。」

 

 

アドラー心理学では怒りを含む「感情」について以下のように考えています。

感情とは、ある状況で特定の人に、ある目的(意図)を持って、使われる

この考えに則れば、豊田議員は元秘書に対して、意図をもって、怒りの感情を使っていた、という事になります。

ここで注目したいのが使っていたという部分。「使う」というのは全て意識された行動です。無意識に「使う」ということはあり得ません。

豊田議員は「パニックになり、ほぼ無意識に怒り狂っていた。後でテープを聞いて呆然とした」という主旨の発言しているわけですが、ここでこんな事例を考えてみたいと思います。

豊田議員が元秘書に激しく暴言を吐いている最中、もし安倍首相から電話がかかってきたとしたら、彼女はどんな態度を取っていたのでしょうか?パニック状態で、安倍首相に対しても同じ怒りのテンションで対応したのでしょうか?

完全に推測ですが、このケースでは豊田議員は恐らくそれまでの態度を変え、かしこまった姿勢で安倍首相へ対応したのではないでしょうか?

似たようなケースで、例えば「親が子を叱責している時に電話がかかってくる」「上司が部下を叱責している時に顧客が訪問してくる」等の場合、ほとんどの人が叱責中の態度を変えて電話や顧客に応答・対応するはずです。

アドラーはこのように、相手によって態度が変わる点を捉え、「感情は無意識でなく、意識的に使われる」としました。

更に詳しく言うと、アドラーは「意識と無意識、理性と感情が葛藤する、というのは嘘である」と述べています。つまり、今回の会見での「(暴言は)ダメだとわかっていた(意識していた)が、(パニックになって)無意識にやってしまった」ということはあり得ない、一連の暴言は全て意図をもった意識された行動であるということになります。

以上がアドラー心理学から見た考察ですが、「真偽のほどは本人のみぞ知る」といったところです。本人がどんな薬を飲んでいたかわかりませんが、会見での発言通り本当に薬をガブガブ飲んでいたのであれば、その影響で通常の判断ができなかったことは可能性としてはあり得ると、一応押さえておきたいと思います。

次回は、更に掘り下げて、怒りの「目的(意図)」に注目して考察したいと思います。