アドラー心理学と会議ファシリテーション

苦手なあの人との付き合い方⑤

苦手なあの人との付き合い方⑤

行動タイプ(コントローラー)について

人をタイプ別に理解していく「ソーシャルスタイル」。5回目の今回は「行動タイプ」または「コントローラー」と言われる人について解説したいと思います。

前回までの内容はこちら
・苦手なあの人との付き合い方①
・苦手なあの人との付き合い方②
・苦手なあの人との付き合い方③
・苦手なあの人との付き合い方④

行動タイプ(コントローラー)の特徴

マトリックス図で言うと感情表現度は「低い」、思考表現度は「高い」というエリアに属するタイプです。感情表現度が低いということは、あまり感情を表に出さない冷静沈着なクールタイプ。それでいて思考表現度は高いので、思ったことはズバズバと言っていくタイプです。なんとなく想像がつくでしょうか?

その性格を一言で言うならば、「コントロールしたい人」。起業家やリーダーの方に多く見られるタイプで、とても冷静で現実的な考え方の持ち主です。仕事などの面でも効率を重視し、目標達成意欲が非常に強い。リスクを恐れずチャレンジし、そして結果を重視します。コントロールするのは好きでも、コントロールされるのは大嫌い。ですから、自分の主義主張について感情を抑えつつも徹底的に貫きます。意思決定は早く、何でもテキパキと素早くこなします。そして他者に対しても結論を急ぐ傾向があります。

行動タイプ(コントローラー)の弱点

このタイプの人が問題やストレスを抱えると、どんな反応を見せるのでしょうか?
端的に言えば「独善的」になります。周囲の意見を受け入れず、より一層自分の主張を通そうとします。感情を爆発させるということはないのですが、口調は強くなり、場合によっては挑発的になります。
「いいから私の指示に従いなさい!」とか「とにかく口答えするな!言われた通りにやれ!」といった形の命令的な口調で、相手を委縮させてしまうことも度々あります。

行動タイプ(コントローラー)へのアプローチ

このタイプの人へは、とにかく主導権を本人に渡すことです。
会話では自分は聞き役にまわり、本人の主張に耳を傾けましょう。「ぜひ~さんからお話を聞きたくて…」や「~さんの力を借りたくて…」など、「教えを乞う」姿勢で接すると本人は心地良く感じます。
仮に反論がある場合も直接反論するのではなく、「例えば、こんな場合はどうしたらよいでしょうか?」といったように、あくまで「教えを乞う」姿勢で尋ねた方が良いでしょう。

 

ただ、ここでやってはいけないのは「質問責め」です。
質問というのは実にデリケートなもので、あまりに連発すると「これらの問いに全て答えてください」という風に、質問する側が会話の主導権を握ってしまいます。質問に答える側は必然的に「受け身」になりますので、行動タイプ(コントローラー)の人はフラストレーションを感じてしまいます。くれぐれも注意しましょう。
その他、このタイプはテキパキとスピーディーに物事を進めたい性格ですから、報告などの場面で他者にクドクド説明されることを嫌います。単刀直入に、簡潔に伝えるようにしましょう。

 

目標達成意欲が高く、未達成に敗北を感じる性格でもあります。ですから、このタイプの人を部下に持つ場合、本人に明確な目標を設定し、更に競争心を煽ると良い形でパフォーマンスを発揮してくれます。一方でそのパフォーマンスを過度に褒めたとしても良い結果にはつながりません。なぜなら行動タイプ(コントローラー)はコントロール「したい」という欲求を持つタイプ。他者から評価「される」よりも評価「する」方を好むため、過度に褒められると、そこに支配される関係性を感じ、「何か企みがあるのではないか」と警戒してしまいがちです。ですから称賛する場合は「君はすごいね!」などと個人に言及するのではなく、「最近、業績が良いね!」といったように、起きている好ましい事実に向けて言及した方が良いでしょう。

 

いかがだったでしょうか?
私の経験上、企業の社員向け研修でこの「ソーシャルスタイル」を実施すると、意外とこのタイプの人は少数です。「行動タイプの人、手を挙げて」と言うと、参加者からはあまり手が上がらない代わりに、後方で研修を見学している上司たちが一斉に手を挙げて笑いが起こるという事が多々あります。(笑)

 

これら上司の方々も、元々はこのタイプの人ではなかったのに、職場での役職やポジションが変わるにつれてタイプが変わったということは十分あり得ます。
個人が描くステレオタイプなリーダー像によって、自分の性格もそちらに引っ張られてしまうのです。
ただ、ここで言いたいのは「リーダーや上司には行動タイプが適している」という話ではありません。
事実としてリーダーにはこのタイプの人が多いという話ですので注意してください。
この数の多さはリーダーシップと言うと「組織を率いる」というイメージから、独善的な面を持つ行動タイプ(コントローラー)に紐づいてしまう事も要因として挙げられるかと思います。
しかしながら、どのタイプの人にもリーダーの資質はあります。大切なのはソーシャルスタイルなどで自分の個性を理解し、その個性を良い形でリーダーシップに生かす事であると、ここで強調しておきたいと思います。

 

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。次回は「分析タイプ」(アナライザー)について解説します。

渡邉幸生