タイプ同士の相性と対処法
アドラー心理学とは異なる視点で、人間のパーソナリティを4つのタイプに分けて見てきましたが、最終回の今回はこれら4つのタイプのうち、相性の良くない組み合わせとその対応を見ていきたいと思います。
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相性の良くない組み合わせ
これまで4つのタイプをマトリックス図で表してきましたが、この図で見た時、実は対角線に位置する者同士が最も「相性の良くない組み合わせ」という事になります。なぜなら「感情表現度」と「思考表現度」という2つの尺度において、共通点を持たない組み合わせだからです。
では、それぞれの組み合わせについて見ていきましょう。
感覚タイプ(プロモーター)×思考タイプ(アナライザー)
【思考タイプの感覚タイプへの対処法】
人への関心が低い思考タイプの人は、逆に関心が高い感覚タイプの人から「感情が表に出ないので、何を考えているかわからない」とか「不愛想で感じが悪そう」などと思われる傾向があります。
ですから、思考タイプの人は感覚タイプの人に対しては気さくに接することが重要です。「気さくに」が難しいのであれば、まずは口角を上げることを意識すると良いでしょう。ちょっとした笑顔が感覚タイプの人には大きな安心感を与えます。
また思考タイプの人は1から10まで筋道を立てて説明することが得意ですが、感覚タイプの人はこれに辟易してしまいます。詳細にではなく、極力概要を話すようにしましょう。数字やデータの羅列も避けた方が良いでしょう。
【感覚タイプの思考タイプへの対処法】
一方、感覚タイプの人は、論理や客観性を重視する思考タイプの人からは「とにかく衝動的・突発的な人だな」とか「計画性がなくテキトーな人だな」などと思われがちです。
よって感覚タイプが思考タイプの人に何かを説明したり、お願いしたりする時は将来への見通しや理由を明確に、そして論理的に伝えることが重要となります。
また感覚タイプの強みである「人懐っこさ」は思考タイプには通用しません。くだけすぎず、ややフォーマルに接した方が思考タイプにとっては心地良く感じます。
協調タイプ(サポーター)×行動タイプ(コントローラー)
【行動タイプの協調タイプへの対処法】
行動タイプは、協調タイプにとって非常にプレッシャーのかかる存在に映ります。感情表現度に差がありますから、協調タイプからすれば行動タイプはとても「冷たい人」に感じます。さらに行動タイプは結果や成果を求めて来るので、プロセス重視の協調タイプは追い詰められている気分になり日々気を遣います。
ですから行動タイプの人は協調タイプには極力穏やかに接することが大切です。そしてコミュニケーションを頻繁にとって自分の考えを誤解なきよう伝えるようにしましょう。その際、協調タイプの日々の献身ぶりに目を向けることも忘れないでください。
【協調タイプの行動タイプへの対処法】
協調タイプは、行動タイプからはとても「優柔不断な人」に映ります。また気遣い気質から来る協調タイプの八方美人的な態度が、行動タイプからは「本心がわからない」と捉えられがちです。
ですから協調タイプは行動タイプに対しては、率直に話すという姿勢が大切です。オブラートに包んだ話し方や態度は行動タイプをイライラさせます。協調タイプの「察してほしい」は、行動タイプには「なんで察しないといけないの?言えばいいのに」と受け止められます。協調タイプは簡潔明瞭に自分の意思を伝えるようにしましょう。
終わりに
以上、7回にわたって「ソーシャルスタイル」について見てきましたが、いかがだったでしょうか?タイプ分けの有効性への過信は禁物ですが、参考にできる部分は存分に活用いただければと思います。
またこうした人間のパーソナリティのタイプ分けには、この「ソーシャルスタイル」以外にも様々な手法があります。実はアドラー心理学にも「ライフスタイル」といったタイプ分けがありますし、その他、タイプを数十種類に分けるなど、より詳細な手法もあります。
どの手法が正しいとかは言うつもりはありません。ただ、皆さんが心理学やコーチングの専門家になるのでなく、職場での活用という視点で考えるのであれば、4つのタイプ分けが一番覚えやすく、使いやすいのではないでしょうか。
ちなみにこの「ソーシャルスタイル」を現場に導入した企業では、顧客対応に著しい改善が見られたなど多くの実績が報告されています。
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ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。
渡邉幸生